あれ?この論文どんな内容だっけ?
論文を読むときは、PCFを「論文」フォルダに入れるようにしていたのですが、ラボ配属から5年目にもなって来るとPDFがすごい数になります。 (今数えたら300本くらいあった、、、)
今まではフォルダを分けたりして何とかしてきましたが、そろそろ限界に近づいてきています。
加えて、昔読んだ論文で、
- この論文の目的なんだったっけ?
- 結論なんだっけ?
- このfigの説明でなんて言ってたか思い出せない、、、!
なんて思うことが増えてきました。
もちろん読み返せばいいんですよ?一度読んだ論文だからパパっと読み飛ばせるし、1分もかからないうちに「ああ、こういうことだった」ってなります。
今のうちはね、、、
絶対これ数年後には読んだことすら忘れてるやつやん。
ということで、論文のまとめ方を試行錯誤します。
落合先生のフォーマット
この記事を書こうと思ったのにはきっかけがあって、かの有名な筑波大学の落合陽一先生が論文のまとめ方フォーマットを公開していたんですよね(48スライド目)。
www.slideshare.net
このまとめ方はいろいろな人が評価してて、実際とてもいいと思うんですよ。
このシステム、メリットは大きく二つあって、一つは後で論文を読み直すときにすでにまとめられたものを読むので要点がつかみやすいこと。もう一つは、最初に論文を読むときにフォーマットを埋めようと意識することで、比較的早い速度で読み込むことができるということ。という風に、一粒で二度おいしいのです。
さらにこのフォーマット、意図してかはわかりませんが、論文の体裁をほとんど保ったまま要約できるのです。
どんなもの?→Abstract
先行研究と比べてどこがすごい?→Introduction
技術や手法のキモはどこ?→Material&Method
どうやって有効だと検証した?→Result
議論はある?→Discussion
次に読むべき論文は?→Reference
結構忠実に守ってますよね。
生物系用のフォーマットづくり
しかし、落合先生は機械工学の方。バリバリの生物系である僕は、このフォーマットを生物系論文用にちょこっと編集させていただきます。
1. 生物系はデータが多い
これは主にCell系列のジャーナルに言えることですが、生物系はFig6とかFig8とか普通に出てくるくらい、データ量がものすごいです。生物系は実験誤差が大きいので一つのことを言うのに二つとか三つの手法で確かめるなど、回りくどい説明が必要であることに加えて、「遺伝子カスケード」なる複数の因子が重なり合うものを証明しようとすることがあります。
これらを1ページA4にまとめようとするのは至難の業ですし、早く論文を読むという目的に対して労力が見合いません。
2. 論文内容のdiagram化
diagramとは、よく論文のFigの最初や最後にあるような、論文の概略を一枚の図(いわゆるポンチ絵)にしたものです。1.とも関連しますが、データがとても多い場合、これがあるのとないのとでは論文を読むスピードが格段に違います。もはやdiagramがあれば勝ったと言っても過言ではありません。
なければ作るのがベストです。確かに作図はめちゃくちゃめんどくさいですが、作る過程で論文の内容を自分なりに噛み砕くことができ、より深い理解にもつながります。
1 & 2 の理由から、Figはdiagramのみに一本化しようと思います。また、「これが一番大事」というチャンピオンデータがあれば、入れることができるようにフレキシブルにしておきます。
3. 生物系はマテメソがあまり重要でない
これは色々議論があるかもしれませんが、僕は生物系の論文はマテメソがとても画一的だと思っています。ウエスタンブロッティング、蛍光染色、RNA-seqなどなど、名前を聞けば大体わかってしまうようなものが多いです。Method系の論文を除き、マテメソを読み飛ばす人は多いと思いますし、実際再現実験などを行うとき以外はあまり詳細は問題になりません。
生物種と実験手法名だけを書くことも多いと思うので、他の欄とひとくくりにしてしまいましょう。
以上を加味して作成したのがこちら↓
論文は、CC BY 3.0ライセンスだった
Hamazaki, N., Uesaka, M., Nakashima, K., Agata, K. and Imamura, T. (2015) Gene activation-associated long noncoding RNAs function in mouse preimplantation development. Development 142, 910-920 doi:10.1242/dev.116996
https://dev.biologists.org/content/142/5/910
から使わせていただきました。
図は本文中のものを使わせていただき、文章は私が本文を元に作製しました。
こだわったところ
見やすいように横A4にした
フォントは游明朝
編集しやすいようにWordで作成した
よって、まとめきれないときには複数ページにできる
PDF保存?紙保存?
このファイル、PDFで一つのフォルダに保存してもいいと思うんですが、ファイルを使うときは主に
新しいネタを考えるとき
やることなくてぼーっとしてるとき
くらいなんですよね。
そうじゃないときは、元論文に当たった方がたぶん速いです(笑)
なんで、いつでも手に取れるところに置いておき、パラパラと流し読みすることができることが大事だと思います。
まとめたものは、紙に印刷してファイルに閉じようと思います。
まとめ
書いてて、この記事つまんねーなとおもいました。
基本論文を見返すときは元論文に当たると思うので、まとめても見返さない気しかしません。
そもそも、論文って最小限に文章を圧縮して書いてあるものなので、それのSummaryなんて読みづらいものになるのは必然かな~。
読んだ論文数が10本くらいの学部生とかには結構効率的な勉強法になるかなとは思います。
これが余裕で書けるようになれば、30分/1論文くらいにスピードアップすることも夢じゃない(かも)!